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社会・文化

特捜検察を「無力化」した民主党

「政界浄化」は誰が担うのか

2011年8月号

 大阪地検特捜部の不祥事を受け、検察改革を検討してきた最高検察庁は七月八日、最終改革案を発表した。その内容を聞いて司法関係者ばかりか永田町住人の多くも仰天した。検察の顔である特捜部から独自捜査権を剥奪するかのような改革案だったからだ。一九四九年に発足した東京地検特捜部はロッキード事件、リクルート事件、金丸脱税事件、旧大蔵・日銀接待汚職事件など輝かしい捜査事績を残し、政治家、高級官僚、財界を畏怖せしめてきた。その組織が骨抜きにされようとしている。何があったのか。特捜の漂流先は―。

「国民利益にかなうことなのか」

 改革案の中身はこうだ。約四十人の検事とおよそ九十人の検察事務官で構成される東京地検特捜部。贈収賄事件など独自捜査を担当する「特殊直告班」二班と脱税など経済事犯の告発を受ける「財政経済班」一班の三班体制になっている。改革案の・目玉・は「特殊」を一班に縮小し、「財政」を二班に増やす編制替えにある。そして警視庁、国税庁、公正取引委員会、証券取引等監視委員会(SESC)から告発された事件を担当する「財政」の捜査に重点を置き、政治権力犯罪、大型経済事件などの独自・・・