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連載

不運の名選手たち21

志村雄彦(プロバスケットボール選手)  大震災で磨かれた「プロ根性」
中村計

2011年9月号

 


 新潟の長岡へ向かう途中だった。
 三月十一日、午後二時四十六分。プロバスケット選手の志村雄彦は、宮城県内の菅生パーキングエリアに停車中のバスの中で被災した。
「ズドンというよりは、長い揺れだった。ユラユラ、ガタガタ、バスが倒れるかと思った。ガソリンスタンドの屋根なんか、ばんばん揺れてましたから」

 地震がおさまると、志村が所属する仙台89ERSの選手たちは、再びバスで試合先の長岡を目指した。事の重大さを実感させたのは、東北道と並行して走る新幹線の線路を見たときだった。
「途中、道路が歪んでたり、亀裂が走ってたりしてたので、まずいなとは思っていた。でも、そこへきたら電柱がバタバタ倒れてた。ただ、連絡が取れないので、とりあえず新潟へ行くしかなかった」

 長岡に到着したのは、深夜二時過ぎだった。あちらこちらの道路が通行止めになっていたため、結局、十二時間以上もかかった。その頃には、被害の甚大さもおおよそわかり始めていた。もちろん試合は中止になった。チームは軽く仮眠を取り、・・・