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連載

Book Reviewing Globe 330

企業の「危機管理」の要諦

2011年11月号

RiskIssuesandCrisis ManagementinPublicRelations ACasebookofBestPractice MichaelRegester&JudyLarkin KoganPage2008

 企業が何らかの齟齬で、大きな危機に陥った時、経営陣がいかに巧みに危機管理を行うか、によってその企業の命運は決する。

 福島第一原発事故の後の東京電力の経営陣の無様な危機管理の失敗(ミスマネジメント)を見るにつけ、その感を深くする。

 東電にとって幸いなのは・そして消費者にとって不幸なことは・消費者の最後の手段である製品ボイコットが効かないことである。東電はいまなお地域独占企業として君臨しているからである。

 しかし、東電がこの期に及んでいかに政治力を発揮しようが、企業の命であるブランドと評判は二度と戻らない。企業の危機管理の究極の目的は、その企業の価値と評判をいかにして守るか、に尽きる。その意味でも、東電は危機管理に完全に失敗した。

 危機を機会に転じた・・・