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まだ実権ある「存命」江沢民

強固な軍の支持

2011年11月号

 十月八日、北京駅に習近平国家副主席ら中国共産党の高官が集まった。ホームに江沢民氏の専用列車が着いたのは夜の八時。その後、江氏は北京の西にある玉泉山の宿泊施設に入った。翌日が辛亥革命百年記念式典だった。一時「死亡説」が流れた江氏が実際に姿を現すという大ニュースは内外の関係筋を大いに驚かせた。  私邸のある揚州から半日がかりの移動となった。営業運転を始めたばかりの北京―上海間の高速鉄道を使わないのは、事故がこわいというより、八十五歳の江氏の体調が万全ではないからに違いない。専用列車の客車は三両編成で、前に医療スタッフと江氏が乗り、次に随行員と警護員、最後は予備車という編成だった。壊れ物を運ぶように慎重だったという。  江氏の出席には、内外に健在ぶりをアピールする狙いがあるのは明らかだが、江氏の痛々しい姿は、重い病状を押して出席せざるを得ない江派の焦りを物語るばかりか、周囲に「もう長くないのではないか」との印象を焼き付けた形となった。これに焦りを募らせているのが、江沢民氏の威光をバックに躍進を遂げてきた習近平氏と人民解放軍内の太子党派であり、ここにきて政権基盤固めを急ぎ、一方で・・・