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連載

《世界のキーパーソン》 クリスチャン・リントナー(ドイツ自由民主党党首)

メルケル連立政権の一角を担えるか

2017年9月号

 ドイツ総選挙が九月二十四日に迫った。
 何事にも手堅い国民性ゆえに、事前の世論調査はかなり正確に勝者を当てる。キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)を率いるアンゲラ・メルケル首相は目下、社会民主党に一四~一七%の大差をつけている。
 ドラマが待っているのは、メルケル氏が誰を連立相手に選ぶかである。中道右派の「同盟」が自然に好むのは、中道でプロ・ビジネスの自由民主党だが、二〇一三年の前回選挙では、得票率が四・八%と、議席獲得に必要な五%にわずかに届かなかった。
 世論調査での自民党は八~一〇%で、連邦下院への復活はほぼ間違いない。それでも安心できないのは、自民党と同盟との合計で過半数に達するか否かの問題が残っているからだ。その場合、メルケル首相には緑の党との連立、「緑」に自民を加えた連立、社民党との大連立継続という三つの別オプションが残る。現在の大連立が成立したのは総選挙から約三カ月後だった。
 同盟以外の政党にとっては、潜在的な連立相手との距離の置き方が最も難しい。過剰な首相批判は連立交渉をこじらせ、首相に近すぎると埋没するからだ。
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