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WORLD

《世界のキーパーソン》ベンヤミン・ガンツ(イスラエル軍参謀総長)

「イラン攻撃」の命運を握る

2012年3月号

 



十八歳で空挺部隊に志願した時、基地に標語が掲げてあった。「知っていれば、恐れることはない」。以後三十年以上、軍の出世の階段を駆け上がる中で、この言葉は心に深く刻み込まれた。

「最初のパラシュート降下は、誰でも足がすくむ。でも、(無事に着地できるという)結果が分かっていれば飛び降りる覚悟ができる。あらゆる軍事行動の基本です」。今では、訪問客に好んで入隊時の教訓を話す。

 いつ、どんな行動をとるのか。世界で今最もその行動が注目される軍のトップがこの男である。柔和な表情を絶やさない偉丈夫は、示唆に富んだ逸話を好み、大言壮語を控え、声を荒らげることもあまりない。四人の父親でもある。

 そんな人物が、年明け早々、クネセト(国会)外交軍事委員会の公聴会で、「二〇一二年は決定的な年になる」と言い切り、「自然現象ではない出来事がたくさん起こるかもしれない」と語れば、世界中に「イスラエル軍、イラン攻撃を示唆」と伝えられるのもやむを得ない。真剣な時に見せるタカのような眼差しは、・・・