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シリアを支持する中・露の怪

アサド崩壊なら「中東ドミノ倒し」

2012年4月号

何とか収まるだろう、といったいい加減な話ではないにもかかわらず、皮相的な見方が一般的だ。一年間で八千五百人(国連統計)が殺されている陰惨な事件に対する切迫感はとくに日本にはない。  一昨年の秋にチュニジアに始まった「中東の春」と称される革命の波はチュニジア、エジプト、リビア、イエメン四カ国の独裁者を押し流した。そのとおりである。国連安全保障理事会は三月二十一日、シリア政府による反体制派への武力弾圧を非難する議長声明を全会一致で可決した。国連安保理は国際法的に拘束力を持つ「決議」の実現に努めてきたが、ロシアと中国が二度にわたって拒否権を行使したため廃案になった。何の強制力もない陳腐な表現に堕した今回の議長声明を、「安保理内の対立を避ける意味で前進だ」などと評価するメディアはどうかしている。

米国の利害結びつく「三日月地帯」

 シリアの危機は「中東の春」とは意味が異なる。米国やフランスをはじめとする欧州諸国、湾岸諸国、それにトルコがバッシャール・アサド大統領の打倒なしにはこの地域の秩序は保てないと確信しているのに対し、ロシア、イラン、レバノ・・・