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政治

菅政権は五月に「退陣」

「破れかぶれ解散」の目は消えた

2011年3月号

「菅さんは絶対に辞めないよ。そんじょそこらの首相とは違うぞ」
 防衛相北澤俊美。今や首相菅直人が最も信頼を寄せる政治家と言っていいだろう。経済財政担当相として入閣した与謝野馨を口説いたのも北澤だし、防衛副大臣として重用した安住淳を民主党国対委員長に送り込んだのも北澤。自民党の長野県議から参院に転じ、同じ長野の元首相羽田孜と常に行動を共にしたたたき上げの苦労人だ。スマートなイメージと同時にひ弱さが付きまとう民主党にあって異色の存在といっていい。ドロ臭い根回し、口八丁手八丁の喧嘩上手。菅にとってこれほど心強い味方はいない。
「地道に国会審議に臨んで、政策を一歩ずつ進めれば必ず活路が拓けます」
 北澤は菅にエールを送り続ける。しかし、北澤のエールも空しくなるほど菅の足元は波に洗われる砂のように日ごとに削り取られていく。ついに二月十七日午前、民主党の小沢系チルドレン十六人が民主党会派の離脱届を提出という奇襲作戦に打って出た。二月初旬ぐらいから小沢は「やがて大きな動きがある」と予言めいたことを側近議員らに語っていたことから見れば、小沢の意向の反映であったことは・・・