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政治

菅直人は「無罪放免」で済むのか

原発事故対応「A級戦犯」の厚顔

2012年4月号

 悪夢の東日本大震災とそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故から丸一年がたち、これまで「藪の中」だった事実が徐々に明るみに出てきた。東電や原子力安全・保安院の機能不全は言うまでもなく、特に、当時の菅直人首相自身が最大のリスクとなっていった実態が浮かび上がってきた。 「菅さんはひどい人間だが、今は菅さんが首相でよかったと思う」  震災発生から間もない昨年三月中旬、当時の枝野幸男官房長官は記者団にこう強調した。菅氏のすぐキレるエキセントリックな性格は認めつつ、事故対応に関するリーダーシップを称賛したものだ。  実は枝野氏をはじめ福山哲郎官房副長官、細野豪志、寺田学両首相補佐官ら菅官邸の中枢は、このころから菅氏の振る舞いを取り繕い、美化する「情報戦」をスタートさせていた。 「東電が原子炉格納容器のベント(排気)をためらってなかなかやろうとしない。それを菅さんが第一原発に飛んでやらせたのだ」 「菅さんが東電本店に乗り込み、東電の第一原発からの全面撤退を体を張って止めた」 「東電は原子炉が使い物にならなくなると海水注入を拒んだ。そこで菅さんが海水注入を決断・・・