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政治

国を滅ぼす「地方分権」

おぞましき自治体官僚

2012年7月号

「霞が関の官僚が悪の権化のように叩かれているが、では地方自治体職員は聖人君子なのか」  国土交通省のある幹部はこう問いかけた。  雨後のタケノコのように生まれた、「大阪維新の会」に代表される地域政党が揃って掲げる「地方分権」。最近では、「地方主権」「地域主権」なる言葉もあるが、国の権限・財源を地方に移せと言っている点では大きな差異はない。  この議論には致命的な欠陥が存在し、現在、中心にいる大阪市長橋下徹がぶちあげた「大阪都構想」も綻びを見せ始めた。

霞が関の劣化版

「東京に出て、中央官庁の取材をして地元に戻ると、県庁職員のレベルの低さに愕然とする」  ある県の地元紙記者はこう語る。単純に能力という点で比較した場合、ノンキャリアも含めた霞が関の官僚の統制された仕事ぶりは、県職員と比べ物にならないと思い知った。  根本的な資質に疑問が呈されるケースさえ珍しくない。大阪市民ばかりでなく、日本中を呆れさせた大阪市職員の「入れ墨問題」はその一端だろう。六月二十一日、大阪市交通局は、市営地下鉄の運転士が停車中の回送電車の車内で喫煙して・・・