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経済

《企業研究》住友化学

問題山積の経団連会長会社

2012年8月号

「『途上国における社会的課題解決型ビジネスの可能性と課題』に関する意見交換会~オリセットネットを事例として~」という長い名称の会合が、七月三日夜、東京・早稲田で開かれた。

 主催したのは国際開発学会の社会連携委員会で、NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)が共催した。大手化学メーカーで経団連会長の出身会社である住友化学が、社会貢献活動の柱として推進している「農薬練り込み蚊帳=オリセットネット」には疑問があるので、意見交換しようと研究者とNGOが企画したものだ。

「農薬蚊帳」の安全性に疑念


 オリセットネットは、ペルメトリンという殺虫剤を練り込んだポリエチレン繊維で編んであり、世界三大感染症の一つ、マラリア予防に使われる。網目を蚊が通れるほどの大きさ(四×四ミリ)にしてあるのが特徴で、蚊が通過するとき蚊帳に止まり、蚊帳から浸み出した殺虫剤に殺されるという。

 世界保健機関(WHO)は二〇〇一年「効果が長期間続く殺虫剤処理蚊帳」の第一号として推奨。〇八年に・・・