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社会・文化

「五輪」にたかる安藤忠雄

御用達建築家がむさぼる「利権」

2012年8月号

 七月二十一日、主要紙朝刊のセンターに、見開きの全面広告が掲載された。人で埋め尽くされた競技場の航空写真の上には「FORALL」の文字。キャッチコピーは「『いちばん』をつくろう。」。  これは、国立競技場(正式名称は国立霞ヶ岡競技場・陸上競技場)の改築について、国際デザインコンクールを実施する広告だ。出稿したのはスポーツ振興くじによる助成事業や、国立競技場等の運営を行う独立行政法人の日本スポーツ振興センター(NAASH)。最優秀者に二千万円が贈られるこのコンクールの審査委員長を務めるのが、建築家・安藤忠雄だ。  本誌はこれまで、安藤の作品群の建築物としての質の低さについて何度か取り上げてきた。建築業界でもその能力に疑問が呈されている安藤がなぜ審査委員長となったのか。 「改築について検討する官民有識者会議のメンバーに、いつの間にか加わっていた。東日本大震災復興構想会議議長代理に選ばれるなど、政治家や役所にとって使い勝手のいい御用達建築家だからだろう」  全国紙運動部記者はこう語る。今回の競技場改築は、二〇一九年に開催されるラグビーW杯と、東京都が招致を目指す二〇年の五・・・