三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

連載

西風 376

大阪市長は片手間で務まるのか
八木亜夫

2012年10月号

 九月十三日に大阪市役所五階の記者会見室で行われた橋下徹市長の定例会見は、これまでとは違う形になった。約一時間に及んだ市長会見が終わると、市職員らは、橋下氏の後ろに立てていた市の広報用ボードを慌ただしく片づけ、そそくさと部屋を出ていった。

 橋下氏は残り、その場で会見の第二ラウンドに臨んだ。身分は市長から地域政党・大阪維新の会代表に変わり、記者団の質問も「集団的自衛権をどう考えるか」「靖国神社に参拝するか」と、国政の重要テーマが中心になった。

 前日の十二日、大阪市内で開かれた維新の会政治資金パーティーで、橋下氏は新党「日本維新の会」の結成を宣言した。橋下氏は新党代表にも就く。市職員の政治活動を条例で厳しく制限しているだけに、自らも政治的発言の場を市長会見と区別する必要に迫られ、二ラウンド制に改めたのだった。

 市長が国政政党の代表となる新党の体制は、極めて特異だ。本部は大阪に置く。幹事長は松井一郎大阪府知事が務める。新党への参加を決めた松野頼久元内閣官房副長官ら国会議員は、維新の「国会議員団」に所属し、国会のある東京に・・・