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政治

《罪深きはこの官僚》 榮畑 潤(厚生労働省医薬食品局長)

残留農薬問題を放置し続ける

2013年2月号

「残留農薬の基準は甘すぎる」
 農薬の人体への影響についての研究を続ける医師はこう憤る。欧米では強い規制が行われているネオニコチノイド系に代表される農薬について、日本は危機意識が低いという。

 十二月二十日、農薬問題に取り組む東京女子医大の平久美子医師と、小児科医の青山美子氏が、関係省庁にネオニコの危険性についての新知見の報告と、規制強化などの対応を早急に求める内容証明郵便を送付した。

 農林水産省や食品安全委員会などと併せて送付したのが、厚生労働省の医薬食品局化学物質安全対策室と、同省食品安全部だ。食品安全部は、医薬食品局の関連部局であり、局長級ポストはない。

 この国の食品における残留農薬の基準を定めているのは厚労省だが、一カ月以上が経過しても、なんらリアクションがないという。責任者である医薬食品局長は、榮畑潤だ。今回送付された報告は、果実五百グラム、または茶飲料五百ミリリットル以上を連日摂取してニコチン中毒に似た症状を呈した患者の尿から、ネオニコ系殺虫剤とその代謝産物を検出したというものだ。ネオニコチノイ・・・