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CIAは中南米で敗退した

「チャベス死去」でも復権は微妙

2013年4月号

ベネズエラ大統領、ウゴ・チャベスの死で、中南米は新たな流動期を迎えた。だが、すでにはっきりした敗者がある。大陸を謀略で支配しようとした、米中央情報局(CIA)だ。チャベス時代の十四年間で、CIAの南米における影響力は急速に減退した。 暴力と不正の側に立ち続けた米国  チャベスの死亡が発表された三月五日、アルゼンチン・ブエノスアイレスの裁判所に、身なりのよい老人たちが並んだ。この国の独裁者だった、ホルヘ・ラファエル・ビデラ、レイナルド・ビニョーネら元軍人たちだ。八十七歳のビデラ、八十五歳のビニョーネは、人権侵害の罪に問われて、残る生涯を囚人として過ごす身だ。魂の抜け殻のような二人は、他の二十三人の被告と共に、「コンドル作戦」における誘拐、拷問などの罪に問われている。 「本当はCIAが被告席に立つべきだった」「作戦を知っていたヘンリー・キッシンジャーにも罪がある」。犠牲者の遺族や市民たちは、米国の犯罪への憎悪を口々にメディアに語った。ニクソン、フォード両政権で国務長官だったキッシンジャーは、ひそかに作戦を承認したとして、複数の南米の国で刑事訴追の試みがあった・・・