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連載

続・不養生のすすめ29

新しい人口の年齢区分に関する提言
柴田 博

2013年5月号

 筆者は老年学を生業としているので、高齢社会の施策をあつかう委員会や集会に招かれることも少なくない。そして、そのような集まりには、きまって「高齢社会は大変だ」というステレオタイプの発言をする人が居り、いささか辟易することが多い。先日もある委員会で、くだんの経験をした。内閣府が平成四十七(二〇三五)年の六十五歳以上人口が三三・四パーセントになることを発表したばかりだった。現在(平成二十三年)は二三・三パーセントだから一〇パーセントくらい増加するわけである。
 
 その指摘は間違っていないのであるが、ある委員が「二〇三五年には、今とまったく別の社会が出現するのである。このことをできるだけ多くの国民に知ってもらい、対処に備えてもらうようにするのが、われわれ専門家の責務である」と声高に叫ぶのを聴いているといささか鼻白む思いがした。この委員は一頃、「高齢者に財布のヒモをゆるめてもらい、どんどん消費してもらうことで高齢社会を活性化させる」と発言していた。ブレーク・スルーの道も示さず・大変な社会・が来るなどと脅すことは、逆効果になると思うが如何なものであろうか?
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