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連載

西風 385

好調「あべのミクス」の背景

2013年6月号

 六月十三日、二十一年ぶりに日本一を塗り替える三百メートルの高層ビル「あべのハルカス」が大阪・阿倍野で開業する。上層階のオフィス部分など正式開業は来春だが、下層階を占める日本一の売り場面積を誇るあべのハルカス近鉄本店が先行オープンする。

 JR大阪環状線の天王寺駅を中心とした天王寺・阿倍野地区は、梅田、難波に次ぐ大阪第三の商業拠点。しかし、キタ(梅田)やミナミ(難波)に大きく水をあけられてきた。長年、駅周辺の再開発が進まなかったこの土地が昨年頃からにわかに盛り上がり、関西の「あべのミクス」と称される。

 二年前にはハルカスに隣接するエリアに巨大複合商業施設「あべのキューズモール」がオープン。関西初出店の店舗などを集めたショッピング・エリアは大阪南部や奈良・和歌山からの買い物客を惹きつけた。天王寺の古くからの商店主は、「ここにハルカスがオープンすれば、大阪の北部や京都、神戸からも客が押し寄せ、人の流れが変わる」と鼻息が荒い。

 来春の正式オープンを前に「ハルカスの入居率は既に七割埋まっている」(全国紙在阪記者)という。そも・・・