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社会・文化

本当に危ないのは「国産農作物」

健康を脅かす甘い残留農薬基準

2013年8月号

 自民党が圧勝した参院選の二日後の七月二十三日、日本政府はマレーシアで開かれていた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉会合に正式に参加した。総選挙ではTPP反対を掲げながら三月に交渉参加表明をした安倍晋三首相は、選挙戦で地方の激戦区を中心に釈明遊説に追われた。  演説では「日本の農業は守る」と訴えた上で、農家の所得倍増、農産物の輸出増加や六次産業化を進めることで「強い農業」「攻めの農業」に転換する方針を示した。  しかし日本の農業の現実は厳しく、構造改革の障壁は高い。日本の農産物の低い競争力の原因は、補助金農政によって甘やかされた末の生産性の低さでもなければ、関税によって守られた価格の高さでもなく、ましてや原発事故による「風評被害」でもない。実はいま最も深刻な障壁とは、日本の食品における「残留農薬基準」の驚くべき甘さにほかならない。潜在的に高い競争力を持つとされる日本の農産物だが、現時点の世界の視線は極めて厳しいというのが、偽らざる実態なのだ。 頭痛・吐き気・四肢脱力……  六月九日、東京都港区の北里大学で「有機リン・ネオニコチノイド系農薬・・・