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政治

《罪深きはこの官僚》藤木完治(文部科学審議官)

欠陥原子炉「もんじゅ」の守護神

2013年8月号

「反原発派だけでなく原子力ムラといわれる人間でさえ無理だと思っている。しかし誰も手を出せないという点で、『もんじゅ』は最大のタブー」

 自ら原発推進派であると認める、国立大学の原子力工学科教授は声を潜めて批判する。

 一九九五年のナトリウム漏れを筆頭に、繰り返し事故を起こしてきた日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅは、これまでに一兆円以上の予算を呑みこんできた。もんじゅに拘泥する文部科学省の「守護神」(文科省担当記者)が審議官の藤木完治だ。

 今年四月下旬、福井県敦賀市でもんじゅ共同研究に関する国際会議が開かれた。米国やロシアなど七カ国の専門家に加え、国際原子力機関(IAEA)の技術者が参加した会議で藤木は高速増殖炉の研究開発を「世界共通の課題」であると語り、今後の国際研究強化に向けた取り組みを求めたという。

 皮肉にもその約一カ月後、原子力機構理事長の鈴木篤之が突然の辞任を発表して藤木は対応に追われることとなった。昨年から今年にかけて行われた原子力規制庁による保安検査で、九千六百件以上の・・・