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経済

中国発「通貨危機」の不気味な予兆

反習近平派が「経済政変」で反撃に

2017年8月号

 中国の人民元をめぐる危機説が再び高まりつつある。成長率が反転上昇するなど中国経済のリスクは低下しているようにみえるが、通貨安定の要となる外貨準備のさらなる毀損、資本流出が底流で加速しているからだ。資本市場では中国の金融機関向けに上乗せ金利「チャイナ・プレミアム」も出現した。中国国内の習近平国家主席への対抗勢力が米ファンドと組んで、人民元下落を仕掛けようとする動きもある。中国が新たな通貨危機の震源地になるシナリオを真剣に検討する時が来ている。
 七月十四、十五日に北京で開催された全国金融工作会議は終始、異様な空気に包まれていた。共産党大会に合わせて五年に一度開かれる重要な会議だが、過去四回は首相が議長を務め、講話を行うという首相主導の会議。共産党総書記は出席しないケースもあったが、今回は習主席が中央に陣取って発言を繰り返し、金融安定の重要講話も行ったからだ。李克強首相は完全に隅に追いやられた。
「金融の安定は国家の安全にとって極めて重要なものである」。会議に出席した金融関係者をさらに驚かせたのが、習主席の講話で飛び出したこの件だ。金融を国家の安全と結びつけたことがた・・・