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社会・文化

日本の女性はなまけている

須田敏子 (青山学院大学院国際マネジメント研究科教授)

2013年11月号

―日本では女性の社会進出がいまだに進んでいません。
須田
 男女雇用機会均等法施行から三十年近くが経過しても、いまだに女性管理職の数が先進国のなかでも低迷していることを見ると、危機感が薄い。国の財政が逼迫しているなかで、少子化が止まらず労働人口が減少している非常事態であるという認識がないのだろう。これを解決する唯一の手段は、埋没している女性の生産力を活用することだ。働く女性はいまだに、能力があり努力もした少数が「点」として存在するだけであり、社会に「層」を形成していない。女性が労働力となるためのトレーニングや、キャリアアップするための制度が必要だろう。


―一方で、専業主婦を志向する女性が増えているという統計もあります。
須田
 厳しい言い方になるが、「働くというつらい行為から逃れたい」と考えている女性もいるのではないか。専業主婦志向の増加を「家庭回帰」という文脈で読み解くのはよくないと思う。誰だって他者に依存して楽ができるならば、そうしたい。男性が同じことをすれば非難の対象だが、女性が甘えても許容する社会通念・・・