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社会・文化

福島に蔓延する「タカリ体質」

真の復興を妨げる「人心荒廃」

2014年4月号

 東日本大震災から三年が経過した。新聞、テレビに「震災を風化させるな」という報道が溢れた。避難している人の数は、今年二月時点で二十六万七千人余り。沿岸部が壊滅的な被害を受けた宮城県内の八万九千人に次いで、福島県では八万五千人がいまだに避難生活を続けている。原子力発電所事故に襲われた福島県の苦しみは想像にあまりある。しかし最近、こんな意見が出始めている。 「『福島かわいそう』キャンペーンが続く限り復興しないのではないかと暗澹たる気持ちになる」  多くの原発避難者が流入しているいわき市の職員の言葉だ。震災を忘れないことと、過去に縛られることは違う、とこの職員は言う。しかし福島では原発事故によって「野放図」に予算が投入されるため、それが「恒久的な利権になりつつある」(同職員)のだ。 原発補償に群がる 「復興利権」は確かに存在する。宮城県や岩手県にも巨額の予算が流れ込み、多くの建設工事が進んでいる。その是非や落札価格の検証は必要だが、道路であれば完成すればそこで終了する。しかし福島県の場合、終わりが見えない。  その代表例は原発避難者に支払われる賠償だ。・・・