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連載

続・不養生のすすめ 40

食肉と寿命

2014年4月号

 筆者がこのコラム「続不養生のすすめ」の執筆を始めてから三年あまりが経過した。目下三年分をまとめ加筆・修正をしてゴルフダイジェスト社から単行本(題名『なにをどれだけ食べたらよいか』)を上梓することになった。五月中旬の発刊を目指しゲラの修正を行っている。

 このコラムを書き続けている三年間に、食生活や栄養に関する風潮に新しい波が加わってきた。それは、中年以降、米、麦、砂糖などの炭水化物を供給する食品をかぎりなくゼロにし、タンパク質や脂肪を供給する食品に限定した方がよいとする考えである。かつての「粗食のすすめ」と真逆の発想である。目新しい説が出ると我先にお先棒をかつぐ精神的風土がわが国にはある。書店には、粗食長寿説の読みものと「炭水化物ゼロ作戦」の読みものが、相拮抗して並んでいる。体内で炭水化物はタンパク質から合成されるとか、脳もブドウ糖のみでなく脂肪からくるケトン体もエネルギーとして使えることが分かってきた。そのことが炭水化物を摂らなくともよい論拠となっている。しかし、粗食長寿説が右への大きなブレとすると炭水化物不要論は左への大きなブレである。そのことに関しては、近・・・