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社会・文化

疑惑「底無し」の慈恵医大

腐敗の温床「理事長独裁」の内幕

2014年6月号

 これだけ事件や不正が相次ぐ医科大学・付属病院は類を見ない。東京都港区西新橋に所在する東京慈恵会医科大学。ノバルティスファーマの降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験では「脳卒中や狭心症のリスクを大幅に減らす」と結論付け、東京地検特捜部が二月に薬事法違反(誇大広告)容疑で家宅捜索。四月には国の科学研究費補助金(科研費)の不正申請疑惑が明るみに出た。背景には黒い癒着の構図と独裁体制を生みやすい私立単科医科大の内包する構造的な問題が存在する。  ゴールデンウイーク前後、臨床試験の責任者である望月正武教授(当時)とその周辺の関係者がディオバン問題で東京地検特捜部の事情聴取を受けた。ディオバンは他の薬に比べて脳卒中や狭心症のリスクを四~五割も減らせるという触れ込みで、日本での売り上げは一兆二千億円超と降圧剤の中でもトップに。その後、慈恵医大を筆頭に五大学の臨床研究論文に相次いでデータ操作が判明した。  特捜部は、消去された望月とノバルティス担当者らのメールを復元。「もっと良い数字ない?」など望月サイドの不正関与を疑わせるやりとりを把握したとの見方が広がった。  ノバ・・・