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経済

《企業研究 》東レ

中韓へ虎の子技術を「献上」する亡国企業

2014年7月号

「まるで旦那に追いすがる芸者のようだな……」

 ある財界人は苦笑交じりにこう評した。六月初め、日本経済団体連合会(経団連)会長に就任したばかりの榊原定征・東レ会長による安倍晋三政権への擦り寄りを揶揄しての言葉だ。

 榊原氏は経団連会長に内定した一月、「政治献金の斡旋再開について検討したい」と唐突に表明。会長に正式就任後には、「年内には経団連として方向性を出したい」とさらに踏み込んだ発言をしてみせた。米倉弘昌前会長(住友化学相談役)時代に決定的な溝ができたとされる政治との関係を修復し、政策決定に財界として関与したいという「意思表明」であろうが、肝心の安倍政権側からは目立った反応はない。

 政治献金斡旋の中止は、故平岩外四会長(当時の東京電力会長)が政治腐敗に対し、財界としてけじめをつけるとして下した「英断」だったが、強大化した安倍政権への接近とばかりに安易にそれを反故にする「榊原経団連」に対しては、さすがに財界内でも首をかしげる向きが少なくない。これほど軽い財界総理も前代未聞だが、実は今、経済界・・・