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経済

「エコカー戦争」 トヨタに暗雲

燃料電池車「市販化」を焦る真意

2014年8月号

 二〇一四年六月二十五日、トヨタ自動車が次世代環境自動車の「目玉」とされる待望の燃料電池車(FCV)を一般販売すると大々的に発表した。販売価格は七百万円で、当初の予定を前倒しして一四年度内に発売する計画だという。各メディアは「トヨタがいよいよFCVに本腰を入れる」と、概して好意的に取り上げているが、内情は全く異なるという。なぜトヨタは、この時期にあえてFCVを投入するのか。そこには、またしてもトヨタによる「ライバル潰し」の思惑が見え隠れしている。 周囲も呆れる露骨な「EV口撃」 「またしてもトヨタが妨害工作に出た」と、自動車担当の全国紙経済記者は苦笑する。「ホンダのFCV市販発表計画を事前に察知したトヨタが『ホンダ潰し』を狙っていち早く会見を開いたというのが今回の発表の真相」だという。ホンダは一三年十一月二十日にFCVの試作車「FCEVコンセプト」をロサンゼルスモーターショーで発表し、米国で先行発売する方針を明らかにしていた。それを察知したトヨタが同日の「東京モーターショー2013」のプレスデー初日に「TOYOTA FCV CONCEPT」の発表をぶつけた「前・・・