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連載

続・不養生のすすめ 44

卵のコレステロールは恐れるな

2014年8月号

 去る五月十二日、本コラムの三年分の連載に一部の書き下ろしを加え、拙書『なにをどれだけ食べたらよいか。』(ゴルフダイジェスト社)を上梓した。この本をめぐり、マスコミの取材や読者からもっとも多く質問を受けるのが「一日に卵を五個食べてもコレステロールは変わらない」というところである。中には、内心、これは筆者のレトリックだと思っている方もおられるようだ。

 実は、コレステロールと動脈硬化に関しては、本誌二〇一二年四月号に詳しく述べた。しかし、今回上梓した拙書では紙面の都合上、簡略化したので舌足らずになったきらいもある。この場を借りて、食事中のコレステロールと血中コレステロール、また動脈硬化との関係を整理しておきたい。これまで紹介できなかったデータも追加させていただく。

 まず、認識していただきたいのは、食事中のコレステロールと動脈硬化の関係に関する動物実験の結果がゆがめられて後世に伝わったことである。二十世紀に入り、卵黄でコレステロールを大量に与え、動脈硬化をつくる動物実験が盛んになった。ウサギでは、人間に換算して一日七千八百個近い卵を与えた実験で・・・