三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

展望なきイオン「アジア戦略」

海外事業でも「苦境」が鮮明に

2015年4月号

 国内事業で曲がり角を迎えたイオングループだが、海外事業でも黄信号が灯っている。「広げ過ぎた大風呂敷」(業界紙記者)が足を引っ張っており、アジア戦略全体に影を落としている。 「店内に客が全然いないけど経営は大丈夫か」  最近、カンボジアの首都にある「イオンモールプノンペン」を訪れた現地日本人駐在員は異口同音にこう語る。イオンの「アセアン事業」のカンボジア一号店としてこの店が華々しくオープンしたのは昨年六月。同三十日の開店記念式典はカンボジアのフン・セン首相や同国訪問中の岸田文雄外相らが出席して賑々しく執り行われた。総額二百億円を投資し、延べ床面積十万八千平方メートルとカンボジア最大のショッピングセンターには、スーパーと専門店約百九十軒が入居した。  イオンの発表によればオープンセールの二日間には、二十万人の客が押し寄せた。日本でもその様子が放送されたが実は早くも「昨年九月ごろから次第に客足が遠ざかり、閑散とした」(プノンペン在住日系メーカー駐在員)という。 岡田CEOの「鶴の一声」  カンボジア国民一人あたりの年間所得は一千ドル少々。プノンペ・・・