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WORLD

《世界のキーパーソン》ルース・ポラット(グーグル次期CFO)

グーグルへ移籍するウォール街の「女傑」

2015年4月号

 洋の東西を問わず「名門企業」とは、学生の就職したい会社だ。米国では近年、ウォール街の金融機関が、学生の憧れナンバーワンの地位を保持した。有名ビジネス・スクール(経営大学院)でMBA(経営学修士号)を取らなければ、相手にもされなかった。

 過去三年でこの状況が大きく変わり、「シリコン・バレー」と総称される、情報工学(IT)やインターネット関連の大手企業が、ウォール街の牙城を大きく切り崩した。ハーバードなど米東部の名門ビジネス・スクールでは四割近くがウォール街に就職したのに、今や四分の一程度。代わって、卒業生の二割近くがIT企業を就職先に選ぶようになった。

 三月下旬、IT企業の盟主的存在である「グーグル」が、ウォール街の老舗「モルガン・スタンレー」のポラット最高財務責任者(CFO)の引き抜きを発表し、米経済界全体に衝撃を与えた。米国の企業勢力図の変化を象徴するものだったからだ。

 今年五十八歳になるポラットは、スタンフォード大、ペンシルベニア大経営大学院を卒業後、ウォール街が「男社会」一色だった頃の一九八七年に、モルガン・・・