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社会・文化

医療雑誌『日経メディカル』の大罪

不正製薬会社との濃密な「癒着」

2015年5月号

 製薬会社と学会による研究不正が後を絶たない。講演料など多額の副収入が、製薬会社から医師に流れ込んでいる実情も世に明らかになり、医学界全体への不信は増幅するばかりだ。  カネがアカデミズムを歪める構図の中で、ひとつ抜け落ちて批判を免れている存在がある。メディアの中でも、ひときわ製薬会社と癒着している医療雑誌『日経メディカル』だ。 『日経メディカル』は、日経BP社が一九七二年から発行している医師向けの総合医療情報誌だ。発行部数は公称で約十一万部。ただ、実売部数は定かではなく、「頼んでもいないのに送ってくる雑誌」(都内の開業医)と医師たちの間では言われている。  紙媒体のみならず、二〇〇六年には「日経メディカルオンライン」も立ち上げている。こちらの方は同社によると購読者数は約十八万人。日本の医師の約六九%をカバーし、月間のページビューは約四百三十三万回だという。 『日経メディカル』の収益の柱は、広告収入である。同社のホームページによれば、表紙の裏の「表二」の広告の場合、一回で約三百五十八万円もする。オンラインの方はウェルカムページとトップページに一週間掲載するための・・・