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経済

「新産業革命4.0」の虚と実

日本は出遅れたままでよいのか?

2015年5月号

 世界のものづくりに新たな産業革命が訪れようとしている。「モノのインターネット」と呼ばれるIoTを駆使し、生産現場を工作機械や部品レベルで電子管理することで全くムダのない生産を実現しようとする試みだ。先行するのは国家プロジェクト「インダストリー4・0」として推進しているドイツと、米ゼネラル・エレクトリック(GE)はじめ民間主導で取り組んでいる米国だ。一方、日本は従来の生産方式に対する「過信」がアダとなり、政府・民間ともに「お手並み拝見」を決め込んでいる。日本は「新産業革命」に乗り遅れてしまうのだろうか。 米国とドイツの主導権争い 「ドイツが推進するインダストリー4・0は、二〇二〇年代以降のものづくりをがらりと変える」と、生産技術に詳しい全国紙経済記者は予想する。現在、世界のものづくりは「トヨタ生産方式」に代表される「リーン(希薄)生産」の時代に入っている。リーン生産は生産現場で情報を共有化することによって仕掛かり在庫などのロスを減らし、難しかった多品種少量生産でのコスト削減に成功。日本のものづくりを世界最強に押し上げた。  ところが一九九〇年代に入ると、・・・