三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

連載

西風 408

関空好調の陰で広がる暗雲

2015年5月号

 成田空港に格安航空会社(LCC)専用の第三ターミナルが開業した。国際空港のお株を羽田空港に奪われて、LCCに活路を見出そうとしているが滑り出しはまずまずといったところか。  以前からLCCに注力してきた関西国際空港は好調だ。かつては「お荷物施設」とまでいわれた空港が、活況を呈している。二〇一四年度の利用旅客数は二千四万人となり、十四年ぶりに二千万人を突破した。特に目立つのは外国人観光客の増加で、国際線の外国人旅客数は六百九十九万人に達した。国際線旅客数だけに限ってみると、日本人の旅客数(六百三十万人)を上回っており、開港後初の快挙だ。中国や韓国からの訪問客が目立ち、名実ともに国際空港になった。  原動力はLCCで、ピーチ・アビエーションやジェットスター・ジャパン、春秋航空日本は関空を拠点としている。合計で十四社のLCCが三十二都市を結んでいるが、これは国内最大だ。今後も便数を増発するLCCが多く、今年七月には国際線が一週間当たり一千二十九便に達し過去最高になるとみられている。ほんの数年前まで北米路線などが次々と廃止、減便されていたのがウソのようだ。 「東京の人間は多・・・