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《世界のキーパーソン》 劉鶴 (中国共産党中央財経領導小組弁公室主任)

習近平直参の経済政策「軍師」

2015年5月号

 中国では皇帝の指南役は国師、軍師と呼ばれた。独裁型指導者、習近平国家主席にも国師といわれる人物が二人いる。一人は国際政治学者、王滬寧・党中央政治局委員。もう一人が、経済官僚の劉鶴・党中央財経領導小組弁公室主任だ。

 王滬寧は、上海閥の江沢民元総書記が上海の復旦大学から北京に招いた学者。以来、王は党中央政治局のシンクタンク「政策研究室」の主任として江沢民、胡錦濤、習近平の三政権に仕えた。だが、習近平の直参ではない。

 周辺を縁故者で固める猜疑心の強い習近平が本当に信頼する軍師は劉鶴だ。目立たない経済官僚だった劉鶴の名前がにわかに注目されたのは二年前だ。米国の国家安全保障担当大統領補佐官だったドニロンが訪中して習近平と会談した。その場で習近平は背の高い痩せた男をドニロンに紹介した。「劉鶴。この男は私にとって非常に重要だ」。ドニロンは驚いてノーマークだった劉鶴との会談を急遽セットした。

 いまの劉鶴のポストで主なものは、党中央財経領導(指導)小組の弁公室主任。習近平総書記に直属して経済政策を決定するチームの事務局長だ。同時に・・・