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経済

《企業研究》大成建設

「新国立」と「アルジェリア」二つの時限爆弾

2015年11月号

「余程ヘマでもしない限り新宿で決まり」。業界筋らの間ではこんな観測でもっぱらだ。

 すったもんだの挙げ句に仕切り直しとなった新国立競技場(東京・神宮外苑)の建設プロジェクト。その設計・施工業者を決めるコンペを勝ち抜いて優先交渉権を獲得するのは、東京・新宿に本社を置くゼネコン。つまりは大成建設にほかならないというわけだ。

 九月十八日に入札参加が締め切られた今回のコンペに大成は建築家の隈研吾氏、梓設計(東京・東品川)とチームを組んで挑む。対するは竹中工務店を幹事に大林組・清水建設を交えた三社連合。こちらのデザインと設計はそれぞれ建築家の伊東豊雄氏と日本設計(東京・西新宿)が担う。一騎打ちだ。

 現時点で二チームのうちどちらが優位に立っているのか、実際のところはわからない。発注の主体となっている日本スポーツ振興センター(JSC)が「コンペへの参加表明、その後の資格審査、技術提案のいずれの段階でも参加事業者名は公表しない。(今年末までに決める)最終結果のみ公表する」としているためだ。旧計画の選考過程で問題視された不透明な運営体・・・