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連載

本に遇う 連載191

鶴見俊輔の心構え
河谷史夫

2015年11月号

 この夏から秋への新聞歌壇には、安保法制づくりをごり押しした安倍政権の政治手法への批判と、ために痛めつけられた憲法第九条への思いを込めた作が多かった。

〈戦いを放棄したるこの国が戦前となる九・一九〉鬼形輝雄

 あるいは、

〈憲法を踏みにじられたこの国で社会科の教師である虚しさ〉
中村岳夫

あるいはまた、

〈永久とは七十年なるかぐらつきし憲法九条祈るごと読む〉
沓掛喜久男

「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という条文は今や反故と化した。日本は時の首相が決断すれば、「戦争をする国」になったのである。

 米空母艦載機の操縦席に座り、さも嬉しげだった首相は「一億総活躍」と言い出した。これがいつ「一億総動員」から「一億玉砕」になるか分かったものでない。

「一億同胞が悉く戦闘配置につく、従来の行掛かりを捨てて、身を挺して各々その全・・・