三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

《土着権力の研究》福島県 佐藤憲保県議

原発復興と農業利権の「中枢人物」

2016年1月号

 原発のある太平洋側の「浜通り」、東北新幹線が縦断する「中通り」、そして猪苗代湖周辺の「会津」の三地域から成る福島県―。震災から五年目を迎えようとしている福島の政治経済の中心は、交通の要衝である郡山市だ。人口三十三万人を抱え、中通りの県庁所在地・福島市(人口二十八万人)を上回り、浜通りの中心都市・いわき市(同三十二万人)に至る「磐越東線」と、会津地方最大の会津若松市(同十二万人)に至る「磐越西線」の結節点に位置する。

 もとは荒涼とした丘陵地帯だった安積原野(郡山盆地)は一八八三年(明治十六年)、猪苗代湖から取水する安積疏水の完成で一大穀倉地帯に変貌した。その後次々と建設された鉄道の恩恵を受け商工都市としても発展、県内トップの人口を有するようになったのである。

 ここにある県立安積高校は政治家を多く輩出する名門校だ。佐藤栄佐久・元知事をはじめ、その娘婿の玄葉光一郎・元外務大臣(福島三区)、根本匠・元復興大臣(福島二区)、増子輝彦・元経産副大臣(参院福島選挙区)や荒井広幸参院議員(比例代表)も同校出身。地元経済人が語る。

・・・