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連載

追想 バテレンの世紀 連載120

「鎖国」のはじまり
渡辺京二

2016年3月号

 カロンらは一夜で海路図を仕上げた。何枚もの紙にわけて描き、張り合わせて一枚の地図にした。「我々の知識と経験の及ぶ限り書き示した」。

 翌五月二二日、上記の平戸藩の奉行二人が取りに来て、城中へ持参した。カロンたちも呼ばれて登城し、「閣老の隔離された集合所」に案内された。閣老全員が集まっていた。カロンが閣老と呼んでいるのは、年寄や六人衆(後の老中・若年寄)だけでなく、もっと広く要職にある幕臣のことだ。