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「EU脱退」で 大儲け狙う英金融界

市場混乱の好機に乗じる「強欲集団」

2016年4月号

 英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票が六月二十三日に迫る中、ロンドンの金融街「シティー」が「英国脱退(BREXIT)」で大儲けを画策している。金融街は公式には「残留賛成」を表明しているものの、行政の監視を何より嫌うヘッジファンドは軒並み「離脱賛成」派。他の金融機関とともに、投票前後の世界市場の混乱で稼ぐことを、虎視眈々と狙っている。
「国益など考えてもいない」
 ロンドン金融街の真ん中に、壮麗にそびえるギルドホール。
 十五世紀から残る中世建築は、金融街の自治組織「シティー・オブ・ロンドン・コーポレーション」の拠点だ。ボリス・ジョンソン市長率いる「大ロンドン」市政府とは全く独立して、金融街の意思決定をしている。ジョンソン市長とは別の「ロード・メイヤー(市長)」を載き、別の「市議会」を持ち、街の構成員である金融機関(街の外に本社や支社を構えるところも含まれる)や、シティーに居住している住民のために行政を行う、排他的・特権的な機関だ。
 三月三日、このギルドホールに集ったシティーの市議会は、「シティーとし・・・