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連載

西風  419

関西経済の足を引っ張る関電

2016年4月号

「表向きは関電を応援するしかないが、うんざりしている。関電管内でビジネスを続けていけるか不安になる」
 大阪で中規模製造業を営む経営者はこう語る。財界活動にも熱心な経営者は、「これは大阪経済界の本音」だと漏らす。
 三月九日、大津地方裁判所は稼働中の関西電力高浜原発三、四号機の運転を差し止める仮処分決定を下した。運転中の原発を止めるという史上初の決定は、関電の想定外だった。
 しかし、冒頭の経営者は運転差し止め決定そのものより、これ以前の再稼働に向けたドタバタと関電の体質について語っているのだ。二月二十日、試験中の四号機で放射性物質を含む水漏れが発生した。「再稼働して大丈夫かいな」と感じるニュースだったが、蓋を開けてみれば配管に取り付けた弁のボルトが緩んでいたというお粗末な原因によるものだった。
 続けて、再稼働後の二月二十九日には、発送電を開始した直後の四号機が突如として自動停止した。取材に詰めかけた報道陣の前で、管制室に警報が鳴り響くという失態だった。この原因も、過電流の設定値を誤っていたという初歩的なミスによるものだ。満を持した再稼働でこれ・・・