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WORLD

危うし米欧「大西洋同盟」

世界秩序「守護者不在」の時代へ

2016年7月号特別リポート

 英国の欧州連合(EU)からの離脱は戦後、いや冷戦後に出現した世界秩序が崩壊に向かって歩みを進める先駆けとなるだろう。ドイツはEU第一の経済力を背景に欧州の代表者的な存在感をさらに強めるが、ギリシャなど経済力の弱い域内諸国によるドイツへの反感は強い。ドイツ、フランス、イタリアといった国々に存在して勢力を増やす右翼ポピュリスト政党は、英国のEU離脱選択にこぞって歓声をあげた。離脱を決めた肝心の英国では、スコットランドが残留を希望していたから、遅かれ早かれ英国からの分離独立を求める国民投票が浮上する。ウエールズにもナショナリズムの火種はある。
 とりわけ気になるのは英国での国民投票があたかも火をつけたかのように、ドイツ、フランス、イタリアをはじめとする欧州諸国で移民反対、自国第一主義を唱える右翼政党が活発な動きを開始している事実だ。政治、経済、社会的不満のはけ口を中央政府のエスタブリッシュメントに向けているところは、米国の「トランプ現象」と軌を一にしている。米欧の主要ジャーナリズムは「ポピュリズム的右翼政党の台頭」で割り切っているが、移民、難民問題が解決すればこれらの政党は姿を消・・・