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政治

「宰相候補」小泉進次郎の孤独

試金石「農政改革」の怪しい雲行き

2016年10月号

 父親の小泉純一郎元首相の背中を見て育った血脈は、そのパフォーマンスと演説の巧みさから否が応でも読み取れる。「将来の宰相」候補と目されるまでに成長した小泉進次郎氏。いまは自民党農林部会長として農政に没頭し、既得権益にしがみつく農業関連団体にどこまで切り込めるのか、その手腕が試される。だが一方で、競争原理を優先させる新自由主義的な思考には危うさも付きまとう。世論の人気は脆弱さと表裏一体で、期待が高いほど失望した時の反動も大きい。純粋培養で育った青年政治家は日本のリーダーの座を射止めることができるのか。
 小泉氏は七月の参院選後の自民党役員人事で、五つまで書ける職責希望欄に「農林部会長」とだけ書いて続投を希望した。この一年、小泉氏は農村に足繁く通い、農政改革を唱えてきた。本人は最初の農林部会長の就任を「意外だった」と強調するが、安倍政権の農業政策をみれば、小泉氏の起用は必然だった。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を推進する立場を貫き、選挙で農業協同組合(JA)の推薦を拒否してきたからだ。
全農会長が改革路線を否定
 部会長就任直後は、西川公也・農林水産戦略・・・