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政治

「輸入米」売買の深い闇

TPPで拡大する「国家貿易」の裏切り

2016年11月号

 国辱とはこのことではないか。今年二月四日に日米を含む十二カ国が署名した環太平洋経済連携協定(TPP)の日米サイドレター(付属書簡)のことだ。
 日本側から「この書簡を出すことが光栄である」とへりくだった書き出しで米国産のコメの調達手続きを説明し、その内容を米国側が了解する往復書簡の形式だ。通常の二カ国文書は、それぞれの言語で書かれるが、この書簡は日本側の文書も英語だ。TPPでは公用語が英語、フランス語、スペイン語と定められ、それが適用されたからだ。
 本文は、日本側がやることだけが一方的に書き連ねてある。具体的には日本が米国産のコメを調達する売買同時入札(SBS)について、落札が予定量に達しない場合は条件を緩めてやり直すなど、要するに米国産のコメが毎年確実に日本市場に輸出できるように念には念を押す内容だ。
 署名したのは米側がフロマン通商代表。日本側は、TPP担当相だった甘利明氏が「現金付きとらやの羊羹」を受け取るなどの疑惑で辞任したため、急きょニュージーランドに派遣された高鳥修一内閣府副大臣だ。署名の文字の「修」は「終」と混ざったような拙さで、本当に本・・・