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連載

皇室の風 100

「王道」を行くべきだ
岩井克己

2016年12月号

十一月十四日、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」で陳述の機会を与えられた。「皇室典範を改正し高齢譲位の選択肢を」と訴えた。
 世論調査も「皇室典範改正で譲位可能に」との意見が圧倒的だ。しかし、ヒアリング対象者の多くは「譲位不可」「摂政で対応」「現天皇一代限りの特別措置法で」などと主張し、かけ離れている。顔ぶれから予想した通りだが、天皇には誠に気の毒な様相だ。
 議事録は官邸ホームページで公開されるが、報道されるのはさわりだけだ。筆者の「少数意見」の要点を紹介したい。

◇前提

 長年取材してきた者として終身在位は残酷な制度だと思う。天皇の「お気持ち」表明は超高齢化時代に天皇が高齢による限界に直面した時は譲位すべきではないかとの問題提起と受け止めた。科学者でもある人間天皇らしい理にかなった考えだ。国や国民に対する強い責任感、残される者への思いやり、高い倫理性も感じる。
◇高齢譲位の選択肢を設けよ
①譲位が通例化した聖武以降は光格まで七割の天皇が譲位した。
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