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政治

農協改革なる「茶番劇」は続く

宰相候補「進次郎」に増す不安

2017年1月号

 環太平洋経済連携協定(TPP)承認のいわば「裏番組」として、安倍政権が同時並行的に進めてきた農業協同組合(JA)改革は、二〇一六年十一月末に「道半ば」で決着した。改革の「対立構造」を読み切れず経験不足を露呈したのが、自民党の小泉進次郎農林部会長だ。しかし同時に、JAグループの政治力が着実に衰退していることも明らかになった。安倍官邸の規制改革推進派は、内心ほくそ笑んでいるだろう。
 規制改革推進会議(大田弘子議長)は、一六年九月に規制改革会議の後継機関として内閣に設置された。「推進」という二文字を看板に加えたからには、アベノミクスの三本目の矢である「構造改革」の柱として恥ずかしくない改革を実現する必要がある。特にTPPに反対し続けるJAの改革は最優先課題だ。

「クミカン廃止」に仰天

 同会議の農業ワーキング・グループ(金丸恭文座長)が十一月十一日に公表した「農協改革に関する意見」は、衝撃的な内容だった。「全国農業協同組合連合会(JA全農)は生産資材購買事業から撤退」、「信用事業を扱う地域農協(全国約・・・