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経済

「人民元」の破滅で何が起きるか

中国関連の投資に鳴り響く「警報」

2017年1月号

 中国人民元の下落が止まらない中で、中国政府の無制限のマネーサプライ(通貨供給量)が、国際金融関係者の間で大きな懸念材料となっている。
 国際通貨基金(IMF)の推計では、二〇〇七年から一五年までの間、世界の追加マネーサプライの六三%が中国発のものだった。ここから浮かび上がるのは、「紙幣の印刷で借金を返す」という、中国経済の戦慄すべき実態だ。巷間伝えられる「トランプ効果による人民元安」といった、悠長な話は忘れたほうがよい。
 トランプ当選が決まる約一カ月前。IMFのある幹部アナリストが、「カネの万里の長城」というブログをネット上に掲載した。人民元は、二〇一六年十月一日に、IMFの特別引出権(SDR)通貨バスケットに正式に採用された。これを機に、人民元の現状を四百語あまりにまとめたものだった。在ロンドンの金融関係者は、「読んでいて恐ろしくなった。経済学が強そうな仲間に『これ、どういう意味?』と聞きまわった」と言う。

日米欧を遥かに凌ぐ通貨供給

 中国のマネーサプライ増加のハイペースぶりは、市・・・