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連載

《世界のキーパーソン》ヴィンセント・ブルックス(在韓米軍司令官)

半島有事と中国を睨む「知将」

2017年3月号

「万が一、北朝鮮が核兵器を使えば、効果的、圧倒的に対抗する」。在韓米軍のヴィンセント・ブルックス司令官は今月、米CBS放送とのインタビューでこう答えた。二〇一六年四月、第二十四代在韓米軍司令官に就任し「FightTonight(今夜戦う)」を合言葉に、一触即発の朝鮮半島で安全保障の重責を担ってきた。
 かつて在韓米軍大隊長として韓国に駐屯した経験がある。昨年六月、駐韓スウェーデン商工会議所が主催した行事で、韓国語で愛国歌(韓国の国歌)を流暢に歌って、周囲を驚かせた。
 一方で、前職が米太平洋陸軍司令官だったことから、「変化する在韓米軍の主導役」としての期待も担っている。
 在韓米軍はかつて朝鮮戦争で多大な勲功を上げたとして、太平洋軍と同等の米陸軍第八軍の地位を勝ち取った。在韓米軍司令官が歴代、4スター(大将)で、倍の規模を誇る在日米軍司令官が3スター(中将)であるゆえんだ。
 その代わり、歴代の在韓米軍司令官は「半島以外のことなど我関せず」の態度で、ひたすら北朝鮮軍のことだけを考えて過ごした。
 これが、在韓米軍の相棒、韓国軍が東アジア・・・