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連載

西風432

阪急「新線乗り入れ計画」の仰天

2017年5月号

 三月、JR新大阪駅と難波駅を結ぶ鉄道新線「なにわ筋線」の整備について大阪府、市、西日本旅客鉄道(JR西)、南海電鉄の四者が大筋で合意に達した。二〇三〇年の開業を目指し、事業費総額四千億円が見込まれるビッグプロジェクト。このニュースに関西人の多くは「新線がようやく動き出したか」と期待を込める。
 この合意と同時に、阪急電鉄もこの新路線に乗り入れることで大筋合意したという報道が一部で出た。関西ではこちらのほうが大きな驚きをもって受け止められた。
 JRと南海電鉄は共にレールの幅が一メートル余りの狭軌鉄道。一方、阪急電鉄は新幹線と同じ一・四メートル余りの標準軌であることは鉄道ファンでなくても知っている。普通に考えればJRと南海の路線に阪急電鉄が乗り入れられるはずがない。阪急は、十三駅から狭軌の路線を作り、建設中の北梅田駅(仮称)まで?いで、なにわ筋線に入って難波まで直通運転を行う計画だという。当然、新車両を導入する必要がある。
 なにわ筋線は一九八九年に近畿地方交通審議会が整備の必要性を答申。新大阪から北梅田駅を経由して難波に至る全長十・五キロメートルの路線だ・・・