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経済

「日経平均株価」のカラクリ

歪んだ指数を共作する政府・日銀と新聞

2017年5月号

「ユニクロの決算発表、他の曜日にしてくれないかな」
 市場関係者はため息まじりに言う。ファーストリテイリング(以下ファストリ)の決算発表は第二木曜日だが、日経平均指数先物の特別清算指数(SQ値)を第二金曜の寄りついた後に算出するため発表が遅れたり、実際の日経平均と数値が乖離するなど影響が出やすいからだ。むろんファストリに罪はない。同社株が日経平均株価に対するウエートが高いことは度々指摘されている通りで、問題は日本経済新聞社にある。ウエートだけではない。だが、結論からいえば、もはやこの歪みきった指数を正すことは不可能だ。
「日経平均は肌感覚より高い」
 読者はこう感じているはずだ。まずそれを数値化してみよう。二〇一二年からの「(日経新聞朝刊で掲載される)時価総額加重平均ベースの株価収益率(PER)」(A)と時価総額をなくしてウエートを加味した「指数ベースのPER」(B)を比較したチャートが左頁下図である。同期間でBからAへの乖離が最大となったのは二〇一四年三月(+四四・七%)、最小が一二年二月(+三%)、AがBを上回ったのは一二年四月(マイナス八・三%)、同・・・