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社会・文化

警察とパチンコ業界の「蜜月」は続く

ギャンブル依存者「量産」の根源

2017年5月号

 文部科学省の組織ぐるみの天下り斡旋問題は一段落したが、これで霞が関の不正が根絶されたと思うおめでたい人間はいない。官僚たちは巧妙に斡旋を続けており、典型例が、パチンコ業界団体にOBの指定席を持つ警察だ。
 警察とパチンコ業界の蜜月というテーマ自体は古い。約三十年前に警察庁が主導してパチンコ店にプリペイドカードを導入したことを契機として、年間市場規模三十兆円以上(ピーク時)という巨大利権は警察のものになった。

不要な通達で健全性をアピール

 目下、パチンコ業界を取り巻く課題は「ギャンブル依存症対策」だ。昨年末のIR推進法(いわゆるカジノ法)成立・施行を受け政府・与党内での検討が始まり、四月十八日には自民・公明両党が今国会での基本法案提出を目指してワーキングチームを発足させた。これまで警察や政府はパチンコについて、「賭博ではない」「ただちに違法とはいえない」という説明を繰り返してきた。しかしさすがに今回は競馬など公営レースだけでなくパチンコも含めて議論することになった。間接的にパチンコが賭博であること・・・