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嗚呼がっかりの台湾「蔡英文」

民心離反で早くも「後継探し」へ

2017年6月号

 台湾の蔡英文総統に足元の民進党から不満と不信の声が噴出している。蔡政権が、敵対する国民党系の人物を相次いで起用し、彼女を支援したにもかかわらず冷や飯を食わされている民進党の長老らが蔡政権の政策に公然と異議を唱え始めた。台湾本土派の「教祖」こと李登輝元総統も「蔡氏には勇気と決断力がない」と批判を強めており、政権への支持率もつるべ落とし。蔡政権はその内側から弱体化しかねない情勢で、台湾では三年後の総統選挙をにらみ、民進党、国民党の双方で早くも「ポスト蔡」に向けた水面下での後継選びが動きだした。
 五月十九日夜、台北市北部、陽明山の麓にある典華ホテルで開かれた「ケタガラン基金会」創設十二周年のパーティー。ここに陳水扁元総統が参列し、約二千人の参加者に盛大な拍手で迎えられた。ケタガランは台湾北部に居住する原住民の別名。陳氏は総統時代、これを冠として台湾本土文化の普及を推進する基金会を立ち上げた。ケタガランは今、大陸からの中国文化に対抗する本土文化を象徴する政治的なキーワードだ。
 陳氏は二〇〇八年に退任後、機密費流用や収賄などの罪に問われ、翌年に台北地方法院(地裁)で無期・・・